日本の英語教育はダメなの?学校教育は文法だけに時間かけすぎ

日本の英語教育はダメなの?学校教育は文法だけに時間かけすぎ

私たち日本人は、中学・高校を合わせると6年間も英語を勉強してきています。それなのに、全くといっていいほど英語が話せないのはなぜでしょうか?日本人が英語を話せないのはどうしてなのか、英語力の基盤となる学校教育に着目し、問題点について取り上げてみたいと思います。

日本人の英語力の現状

日本の英語教育の問題点

英語でペラペラと話している日本人を見たら、「すごいなあ。」と思いませんか?

外国人と出会ったとき、言いたいことが上手く言えず、もどかしい思いをしたことはありませんか?私たち日本人は、中学・高校を合わせると6年間も英語を勉強してきています。それなのに、全くといっていいほど英語が話せないのはなぜでしょうか?

日本の英語教育の仕方には問題があると、よくいわれています。残念ながら、日本人の英語力の低さは、世界的に有名です。アジア28カ国の中では、長年ほぼ最下位です。日本は韓国や中国、台湾と比べて、英語力が劣っているというデータがあります。

日本人が得意としている文法でも、これらの国と比べると一番点数が低いそうです。会話においては、英語力の差がさらに明らかになります。海外で留学生たちが集まっていたときに、ほかの国の学生たちは、堂々と英語を使って会話を楽しんでいましたが、日本人は口を開かない人が多くいました。どうして、教育の充実している日本なのに、こんなに英語ができないままなのでしょうか。

英語教育の「時間」が足りていないのでしょうか?いいえ。6年間という長期間、英語を学ぶ時間があります。学習時間については問題ありません。では、英語教育の「内容」に改善点があるのではないでしょうか。

ここから、日本人が英語を話せないのはどうしてなのか、英語力の基盤となる学校教育に着目し、問題点について取り上げてみたいと思います。

文法の勉強は必要か

日本の英語教育では、文法の学習に重点が置かれています。中学・高校の文法の授業を思い出してみてください。「時制の一致」や「不定詞」を学びましたよね。日本語でもピンとこないような言葉ですが、それを学ぶところから文法の学習は始まります。

また、過去形なのか現在進行形なのか、など、普段の日本語での会話では、意識もしないようなことを考えないといけません。文法の用語自体も難しく、内容も難しい。これでは、「文法って、ややこしくて難しい」というイメージが、まずついてしまいますね。日本の英語教育は、「英語をわざわざ難しくしている」という気がします。

でも、結論から言うと、文法の勉強は必要です。どうしてでしょうか。

文法の学習が必要な理由

私たち日本人のように、英語圏で育っていない人が英語を話せるようになるには、文法の勉強が必要です。英語が母語でない人は、文章の構造を説明してもらう必要があります。文章とは、主語、動詞、副詞などで成り立っていること、どれが動詞にあたるか、どう変化するか、一つ一つ教えてもらう必要があるのです。

もし私たちが外国で生活して自然と習得しようとすると、膨大な時間がかかってしまいます。英語圏で生まれた子どもが、自然と言葉を覚えていくのと、私たちが英語を習得するのは、わけが違います。私たちは、文法を学び、文章の構造を解説してもらう必要があります。

また、正確な文法が必要な理由を、もう一点取り上げたいと思います。英語で会話をしているとき、相手がネイティブなら、間違った文法で話された言葉でも、ある程度推測しながら会話をしてくれます。でも、お互いに英語圏ではない人同士で会話する場合は、文法が合っていないと話が通じにくくなります。

また、ビジネスシーンで交渉をするときや、プレゼンテーションをするときは、マナーとして、できるだけ正確な英語を使うことが求められます。きちんとした言葉で話せる人は、教養があって知的な人、という印象をもちますよね。それは国際的にも同じで、きちんとした英語を話せる人は、それなりに丁寧に応対してもらうことができます。

ビジネスシーンはもちろん、心地よい友人関係を築いていくうえでも、きちんと話をするスキルは必要ではないでしょうか?それで、文法をしっかり学ぶことは大切だといえます。日本で、文法をきちんと教えているのは、とても良いことです。では、問題はどこにあるのでしょうか?

文法を学ぶのはコミュニケーションのため

英語を学んでいるのは、何のためでしょうか。それは、英語で「コミュニケーションをとるため」です。相手の言っていることを理解し、こちらの考えを伝えるようになることが、文法を学ぶ目的なのです。正確な文法で話すことにこだわりすぎて、本来の「コミュニケーションをとる」という目的を見失わないようにしたいものです。

日本の英語教育は、この本来の目標を見失わせてしまっているのではないか、と思います。日本の英語教育によってできた、「受験英語」の思考回路があると、英語を発することに気後れしてしまうようになります。

例えば、道を聞かれて教えてあげるときに、「二つ目の信号を右に曲がってください」と言いたいとします。でも、頭の中では「Pleaseを使うんだったっけ?曲がるのは少し後だから、未来形にして言うべき?」と、混乱してしまいます。「文法が間違っていたら通じないかも」「語順はどうだったっけ?」「通じなかったら恥ずかしい」という思いが、英会話を妨げてしまうのです。

学校の授業の時には、文法的ミスをしないように、考えるべきポイントをたくさん学びます。また、筆記テストのときは、考える時間もたくさんあります。消して、書き直したりしますね。

でも、実際に英語を話す場面では、考えこむ時間はありません。必要なのは、テンポよくやりとりすることです。細かなミスはあったとしても、伝わるものです。考え込んだり、正確な文章が頭の中でできあがるまで、何も言葉を発しないよりは、キーワードだけでも伝えるほうが良いのです。

日本の英語教育の現場では、文法だけに力を入れて教えている気がします。文法の学習は必須ではありますが、正確さにとらわれすぎて、本来の目的であるコミュニケーションが妨げられないように、注意したいものです。

英語教育の問題点

英語教育の問題点

教育の目的

日本の英語教育は、「勉強」という意識が強すぎるように感じます。テストで良い点をとること、高校受験、大学受験のために英語を勉強するわけです。「英語=勉強」となると、なんだか難しく感じてしまったり、やる気がなくなってしまったりしてしまいます。

学生の頃はとくに、普段から「勉強しなさい」といわれてきていますから、「勉強」という言葉に良いイメージをもっていないかもしれません。「英語=イヤなこと」と感じてしまうかもしれません。

「受験のため」「単位取得のため」と思って勉強すると、とたんにつまらなくなってしまいます。英語を学ぶ本来の目的を、一度見直してみることが必要かもしれません。

優秀な英語教師の不足

日本の中学・高校の英語教師の英語レベルは、TOEICスコア790点に満たないと言われています。最近では小学生のときから英語教育を始めるようになりましたが、きちんと教えられる教師がいないのが現状です。教えられる人材が確保できていないので、子どもたちもきちんと学べていません。

解決策として、外国人講師に来てもらうという方法もありますが、それで解決できるわけでもないようです。なぜかというと、教師には単に英語力だけが求められる、というわけではないからです。学校で教える教師には、専門分野の知識以外に、心理学・教育学など、教育に関するさまざまな知識が必要です。

もちろん、豊富な英語の知識をも持っているのは欠かせません。ですが、それを生徒たちに確実に教えていくのには、単なる知識以上のものが必ず必要です。生徒ときちんと向き合う熱意と、高いコミュニケーション能力が求められます。

「確実に基本的な知識を身に着けるには、どんな授業がいいか?」「生徒たちが楽しく学べるようにするにはどうすればいいか?」「何につまづいているのか?」ということを考える必要があります。

そのような熱意、スキルまで外国人教師に求めるのは難しいことです。日本語を流ちょうに話し、日本人の感覚を理解し、上手に指導していくのは、やはり日本人のほうが有利だといえます。

ですが、日本人の英語講師は、ネイティブとの会話にあまり慣れていません。英文法を中心に教えているため、会話力はあまり高くないかもしれません。実際、外国人講師が授業に来たときに、彼とうまくコミュニケーションがとれていない講師もいました。

それらの先生たちは、自身もネイティブと会話する機会が少ない環境で育ってきていますから、生徒たちに英会話の楽しさを教えることが難しいのは、当然のことです。一部の先生(海外留学した経験がある・若い年代の教師)は、非常に英語が上手です。生徒は、先生がネイティブと楽しく会話している様子を見ると、英語に対する見方も変わってくるのではないでしょうか。

このようなスキルを持った優秀な英語教師は、なかなか確保しづらいのが現実です。この、「優秀な英語教師」が不足しているのが、日本の英語教育の現状です。

音声学習が少ない

英会話は、読み・書きだけでなく、聞き・話すことも必要です。実際の会話のときには、目で文字を見ることはなく、音でやり取りをします。英語を聞き、話す必要があります。日本の教育現場では、このような音声を使った学習がかなり少ないように感じます。

文法は書いて学ぶだけでなく、聞くこと・話すことを組み合わせて学ばなければいけません。ですが、日本の中学・高校の英語学習は、未だに書面で文法を学ぶところに留まっています。

英会話をするときに必要な能力として、瞬発力も挙げられます。英語を耳で聞いたときに、瞬時に意味を理解し、ふさわしい答えをするには、英語の音に慣れておく必要があります。英語を耳で聞いて、頭の中で文字に書き直して、意味を理解しようとすると、スムーズに会話をすることができません。

英語を「聞く」「話す」ことに慣れていないのも、日本人が英語を話せないことの原因の一つです。教育現場では、英語を書く授業に加えて、もっと音声学習に力を入れ、英語の音に順応できる環境を作っていく必要があります。

アウトプットの機会が少ない

ある程度の文法を学んだら、積極的にアウトプットしていく練習が必要です。実際に英語で会話ができるようになるには、必ず実践が必要です。ですが、日本の学習現場では、未だに講義スタイルでの授業が主流です。

外国人講師を招いて授業に参加してもらったり、生徒同士でも英語で会話をする時間を、意識的に作る必要があります。

日本の文化をとりいれすぎている

日本の文化と、英語圏の文化は大きく違います。例えば、英語圏では年齢に関係なく、名前で相手に呼びかけます。日本では、友達のお母さんのことを、呼びすてで「ユウコ」と呼ぶことなんて、ありませんよね。お互いの呼び方にも英語と日本語では違いがあります。

また、授業を始めるときに「起立!礼!着席!」と、挨拶をしてから始めるクラスがあるようですが、これは英語圏ではありえません。英語で「Stand up!」「Bow!」「Sit down!」とやっていると、まるで軍隊のようです。このような挨拶をするのは、日本の習慣です。

言語と文化は密接に関連しています。日本の文化を引きずりすぎるのは、英語の文化の吸収、そして言語の成長を妨げてしまいます。

日本の英語教育の改善策

では、どうすれば6年間も文法の勉強に費やさず、効率的に英語を習得できるのでしょうか?日本の教育の改善策について、TOEIC高得点取得者、海外留学経験者、外国人講師の意見をもとに、ここからご紹介していきいと思います。

英語に対する意識を改善させる

英語はコミュニケーションのためのツールであるという意識が、教育現場では低いように思います。外国の人と会話をする、親しくなるために英語を学ぶのではなく、語彙を増やすこと、正確な文章を読み書きできることに目標が置かれています。数学や理科など、同じような教科の一つとしてとらえています。

これは、生徒の意識だけではありません。生徒に英語を教える講師も、英語はコミュニケーションツールの一つである、という意識があまりないように感じます。実際、彼らの身近に外国人の友人がいたり、海外経験があるという人も多くはありません。

まずは、英語を使って外国人とコミュニケーションをとる楽しさを、教師自身が実感する必要があるのではないでしょうか。

生徒たちに、英会話の楽しさを経験してもらうには、どんな授業がいいでしょうか?まず、外国人教師を積極的に招くことです。そして、招くだけではなく、教師自身も彼らと積極的にコミュニケーションをとり、彼らとの時間を楽しんでください。

また、外国人講師と生徒が、一対一もしくは少人数で話す時間を作るのもおすすめです。クラス全体で話すのも良いのですが、講話スタイルになりがちで、自然な英会話とはいえません。また、会話に参加できない生徒、もしくは傍観者になる生徒がでてきてしまいます。

少人数であれば、気楽に話しやすくなるかもしれませんし、個人的な「コミュニケーションをとる」とはどういうことなのか、実感することができます。外国人講師を招いて、彼らと話す時間を作ってあげて、英語を学習することの意義について考えさせてあげるのも、大切なことです。

リスニングを強化する

中学と高校の英語の授業は、受験に焦点を合わせて行われているので、どうしても文法重視の授業になりがちです。入試のときに出題させる問題は、文法力を図るものが多いので、仕方ありません。

ですが、英語力を向上させるには「聞く・話す・書く」の3つの能力を、同じように伸ばす必要があります。文法を書いて覚える授業だけだと、「聞く・話す」という会話ができないままになってしまいます。英語の授業では、もっとリスニング教材を活用し、「聞く・話す」練習をする必要があります。

具体的にはどんな授業内容が良いのでしょうか?私が学生の頃も、英語で映画を観たり、英語で歌を練習することもありました。また、外国人講師を招いて授業を行なってもらうこともありました。

また、生徒に何度も口に出して音読させたり、生徒同士で練習し合う授業もあるようです。参加型の授業をすることによって、生徒の意識も変わってきます。英語がより身近で実用的なものになります。

これらの授業は生徒にとって「楽しい」英語の授業であり、実際に効果のある方法です。これからも積極的に取り入れて欲しい授業方法です。

日本の英語教育は改善するべき

ここまで、日本の英語教育の問題について取り上げてきました。文法の勉強だけに6年間を費やすのではなく、実際に英語を「聞き・話す」時間をとることは重要です。また、英語でのコミュニケーション力の高い教師を採用すること、英語を学ぶ目的を、受験対策ではなく意思の疎通に置くこと。これらも生きた英語を習得するために欠かせないことです。

日本の学生たちが、10代という最も吸収力の高い時期に、正しい方法で学べるよう、学習環境を整えてあげたいものです。これから世界で活躍できる人材を育てていくのであれば、本腰をいれて日本の教育環境を改善して行く必要があるという気がします。

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